森有正 『バビロンの流れのほとりにて』 筑摩書房 1968年発行

 小学生の時からフランス語で授業を受け、西欧文化に精通、40歳で東大の教員を辞めて渡仏、放浪の哲学者となった著者の思索の記録です。芸術が千万の言葉より真理を理解するきっかけになる(著者はそれを「経験」とよんだ)、自己の本質の姿を見通し、その姿に耐えることが人生だ、などと書かれていたように思います。理解できない箇所は、自分なりに解釈しつつ読んだ記憶があります。数十年の時を経て読み返しても発見が得られる書です。

(経営学部 鈴木愛一郎)

池谷裕二 『進化しすぎた脳 ―中高生と語る「大脳生理学」の最前線』 講談社 2007年発行

 大脳生理学者が対談を通して、高校生に脳の進化、心、記憶などを講義する内容である。高校生との対談形式であるため、理解しがたく手に取りにくい印象のある脳について著者は平易に説明しており、理解しやすい。
 脳地図は体が決める、あいまいな記憶が人間にとっては良い、意識の最低条件など、脳や人間の生理や行動を理解することにつながり、興味深い内容が数多く記述されている。
人間の心や体を学ぶ者にとって役立つ1冊である。

(リハビリテーション学部 林浩之)

三浦綾子 『道ありき 青春篇』 新潮文庫 1980年発行

 13年にわたる病床の青春と信仰への道のりを率直に語った自伝小説。作者の精神の成長に心を震わす読者が多い。が、少々私的な楽しみ方を口コミしたい。病床という狭い空間で、愛し愛される人々、"立派"な人々、自由でわがままで弱い人々、多様な人間模様がオムニバス映画のように次々と登場し交差する。どんな状況にあっても世界は拡がる...閉塞感を感じるのは自身の心だ。コロナ禍の今、読み返したい1冊。

(経営学部 岡室美恵子)

タル・ベン・シャハー (訳/成瀬まゆみ) 『ハーバードの人生を変える授業(Even Happier)』 だいわ文庫 2015年発行

学んだことを実践するのは、結構難しいものです。
原文(英語)のタイトルと、日本語訳は全く印象が異なる本書には、
「自分を受け入れるには?」「何が心の障害になっている?」
といった実践につながるワークが提示されていて、「幸せ」研究に関する学術研究のエッセンスを短時間で学び、実践する構成になっています。
  
最後に、以下のような宣誓文が提示されています。
「失敗して学ぶか、学ぶこと自体に失敗するか」
「幸せ」な大学生活を送るヒントが見つかるかもしれません。

(リハビリテーション学部 林久恵)

『聖書』 日本聖書協会

 ミッション系大学(南山大学外国語学部英米科)の学生時代、英語と聖書は切り離せないと思いつつ何もしなかった。その後、そのままアメリカに留学。現地の人々と交流する中で、キリスト教を知らずにアメリカ人は理解できないという思いが強くなった。やっと聖書を開いた。聖書は、深淵な書物だが、その核となる真理は幼い子どもも理解できるほどやさしい。私にとって、聖書の「愛」との出会いは人生のターニングポイントとなった。初めて聖書を手にした大学2年のあの頃にその「愛」に出会っていればと痛感した。留学を経て、聖書は人生の羅針盤、且つアメリカ理解の基本の書となった。

(経営学部 神野真寿美)

E.B.ゼックミスタ・J.E.ジョンソン (訳/宮元博章 他) 『クリティカルシンキング 入門編 : あなたの思考をガイドする40の原則』 北大路書房 1996年発行

 大学教員になりたての頃に参加した研修会で、初めて耳にした「クリティカルシンキング」という言葉。直訳すると批判的思考ですが、本書では適切な規準や根拠に基づく、論理的で、偏りのない思考と定義しています。世の中に溢れている情報を鵜呑みにすることはありませんか。その情報の根拠は何か、原因は何か、そういったことを考える「態度」を身につけさせてくれる本です。本書は、日常における事象をテーマにした構成がされているので、読みやすいです。是非ご一読をお勧めします。

(リハビリテーション学部 冨山直輝)

山崎豊子 『大地の子』1~4巻 文春文庫 1994年発行

~ありのままの現代中国が見える本~

 大学時代に読んで衝撃を受けた作品の一つです。NHKでドラマ化もされ、話題になりました。日本人である主人公の迫害と苦闘、養父との親子愛、別れた肉親との再会などが描かれています。また、この作品は著者の緻密な取材が元になっている事実に近いフィクションであり、登場人物も当時存命の人は分かりやすい仮名になっています。
 日中戦争から新中国成立、文化大革命、日中国交回復、中国共産党の権力闘争といった現代中国史に対する理解が深まる一冊です。

(経営学部 日下部直美)

近藤麻理恵 『人生がときめく片づけの魔法』 サンマーク出版 2010年発行

 この本との出会いは、四六時中読書をしている父親が何気なく居間に置いていたことからでした。今思えば、だらしない私への無言の忠告だったのかもしれません。現在著者がNetflixで全米の人たちを虜にしている所以は、この本が巷にあふれる物理的な断捨離術だけでなく、それにまつわる記憶や思いまでも整理出来ることに気付かされることです。私は片づけが済んだ部屋で、白紙になったような気分で、過去からの自分に捉われず、自身の今やるべきことを見つめる事が出来るようになりました。そしてアメリカ留学を決断したのでした。

(リハビリテーション学部 竹内佳子)

マイケル・E.ポーター (訳/土岐坤 他)『競争の戦略 新訂版』 ダイヤモンド社 1995年発行

 「競争の戦略」に出会ったのは、社会人になってからであるが、書店で出会い即購入し、一気に読み終えた記憶がある。競争企業、新規参入者、代替品、売り手、買い手のファイブ・フォースを分析し、戦略をコストリーダーシップか差別化の2つから選択し、必要であれば集中化を付加し、競争戦略を立案する理論である。経営戦略論の枠組みが頭の中に構築されたような気がした。 

(経営学部 秋山健太郎)

サン=テグジュペリ 『星の王子さま』 新潮文庫 2006年発行 ほか

 世界的ベストセラーですので、子供の頃に読んだという人もいると思います。「いちばんたいせつなことは、目に見えない」という言葉が特に有名です。
 一方、「当たり前のことしか書いてない」と評する声もあります。実際、大人への厳しい言葉は、大人を矮小化したその産物にも見えますし、また、幾つもの言葉が心に沁みるのも、物語が醸し出す幻想的な雰囲気の効果ゆえなのかも知れません。
 それでも、自分の経験から言って、この本には一定の価値があると思っています。なぜなら、この本は、「で、一番大切なことって何?」と自ら問うという、必ずしも当たり前ではないことを、読者に――あるいは一部の読者に――促してくれるからです。

(リハビリテーション学部 岸貴介)